3月30日の日本ハム-楽天の試合で開幕したプロ野球2023年シーズン。
セ・リーグ、パ・リーグともに開幕4試合を終えて、スタートダッシュに成功したチーム、いまだに初勝利にたどり着いていないチームと、かなり明暗が分かれてきた。
今回はパ・リーグ3連覇、日本シリーズ2連覇を目指すオリックスの現状に注目してみた。
オリックスと言えば、山本由伸投手を筆頭にした分厚い先発陣と、宇田川優希投手、山﨑颯一郎投手らを中心とした先発以上に分厚いリリーフ陣という、投手陣の層の厚さが売り。
打撃面は、吉田正尚選手の圧倒的な打棒におんぶにだっこ状態。
これがざっくりとした2022年の戦力分析だった。
吉田選手がMLBレッドソックスへと移籍した中、かつて吉田選手と激しい争いの末に首位打者を獲得した経験のある西武・森友哉選手を獲得。そこへ、若手野手陣の成長を加えることで「吉田正尚の抜けた穴」を埋めようというのが2023年のオリックスの戦い方。
そう、特に攻撃力においてオリックスはテコ入れをしてきているのだ。
森選手の開幕から4試合での成績は打率.231、出塁率.375、2本塁打、2打点、OPS1.067。打率こそ物足りなく映るが、例年スロースタートなことが多い吉田選手のことを考えれば、他の数字は完全に「吉田正尚の抜けた穴」を埋められるだけのものを示していると言っていいのではないだろうか。
ただ、5打席あった得点圏では4打数無安打でわずかに1四球と、今のところ打率.000、出塁率.200。吉田選手は2022年に得点圏打率.367、得点圏出塁率.521だっただけに、この差をどれだけ森選手が埋められるかが、今後のオリックスの攻撃力に大きく影響してきそうだ。
また、森選手がいなかったオリックスの昨年の年間暴投数は28、およそ5試合に1つのペースだったが、今年は4試合で5つもの暴投を記録しており、年間で178以上を数えるペースとなってしまっている。
5つすべてが森選手がマスクを被っている場面でのもので、中には「実質、暴投じゃなくて捕逸」とファンから厳しい指摘を受けているものもある。
攻撃面でも「吉田正尚の抜けた穴」を埋め切れていない森選手だが、守備面でも逆貢献してしまうリスクを孕んでいると言えるかもしれない。
(文/有村和巳)
~ライター略歴~
静岡県出身
大学までは野球部で白球を追いかけていた
今は野球を中心にスポーツ全般の記事を執筆している