昨年大みそかに、3階級王者の実績を持つ挑戦者・田中恒成選手を退け、2度目のWBO世界スーパーフライ級王者防衛を果たした、プロボクシングの4階級王者・井岡一翔選手。
田中選手との一戦は、年間ベストバウト(最高試合)との呼び声も高く、井岡選手のボクサーとしての格の高さを証明するものだった。
だが、今この試合で最も話題になっているのは、試合中にあらわとなってしまった井岡選手のタトゥー。
「ルールを守れない奴が、ルール変更を叫ぶ資格はない」
国内での日本人選手の試合出場に際しては「入れ墨やタトゥーは(ファンデーションなどで見えないようにするなど)隠してリングに上がること」とJBC(日本ボクシングコミッション)がルールを定めている。
以前から井岡選手はタトゥーを入れており、昨年末の試合前まではしっかりとタトゥーが見えづらくなるよう処置をして試合に臨んでいたが、昨年末は一応処置をしていたもののそれが甘かったことでJBCが問題視している。
「現役世界チャンピオンの井上尚弥選手やタレントの武井壮さんらが言っているとおり『ルールを順守したうえで、別途、“タトゥーを隠させるのは時代にそぐわない”などの主張をしてルールを変える動きをすればいい』という意見に私も賛同します。
それに、井岡選手はこれまではルール順守の姿勢を見せていたのに、昨年末の試合で事前に『ルールがおかしいと思うのでもう守りません。タトゥーが見える状態で試合に出ます』と宣言するでもなく、しれっとこれまでよりもタトゥーがあらわとなる状態で試合に臨んだのが良くなかったですね。
これまでも同じ姿勢で臨んでいたのであれば、ある意味スジが通っていますけど、なぜ昨年末の試合で突然?と感じています」(スポーツ記者)
やはり日本では「ルールを守れない奴が、ルール変更を叫ぶ資格はない」という考え方が主流のようだ。
ただ、試合そのものとは別の事情でベストバウト(最高試合)が泥仕合になりつつあることは残念というよりほかにないだろう。
(文/有村和巳)