「自殺ならNG、他殺ならOK」とでも解釈しているのだろうか。
8日、奈良市内で演説中に山上徹也容疑者の凶弾に倒れ、懸命の救命措置も実らず帰らぬ人となった元内閣総理大臣の安倍晋三さん。
テレビ各局は同日夜の番組編成を急遽変更し、安倍さん追悼番組だらけとなった。新聞も9日の朝刊は安倍さんの話題に溢れている。
そして、安倍さんの自宅がある東京都渋谷区富ヶ谷にはマスコミが大挙して押し寄せ、「近所の方は不安そうに」などと自作自演な報道をしている。
「つい先日、四十九日を迎えた上島竜兵さんの急逝時には、フジテレビとテレビ朝日が上島さんの自宅前から中継を行い、多くの視聴者から批判を浴び、厚生労働省からも注意喚起を促されるという事態になりました。
今回の安倍さんの訃報に関するメディアの対応を見ていると、『自殺だったらガイドラインや世論的に報じづらいが、他殺だったらやってもいいだろう』というなんとも残念な考えが透けて見えます。
内閣総理大臣として歴代最長の在職期間を誇った安倍さんですから、様々な報道がなされるのは当然でしょうけど、それだけ影響力の大きな人の死を扱うわけですから、ニュースを受け取る側に配慮をして“いのちの電話”の情報を添えるべきでしょうし、自宅前から中継する必要性なんて1ミリもないでしょう」(メディアコメンテーター)
山上容疑者のとった行動は断じて許せない。
だが、それと同時に無節操で無配慮なメディアの対応もまた許せないものではないだろうか。
(文/梅林隆介)
【日本いのちの電話】
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