28日(現地時間では27日)米ロサンゼルスで行われた「第94回アカデミー賞」の授賞式は、残念ながら後味の悪さを残すものになってしまったようだ。
『長編ドキュメンタリー賞』のプレゼンターとして登壇したスタンダップコメディアンであり、俳優、脚本家、プロデューサー、映画監督としての顔も持つのクリス・ロックさんが、様々なジョークで会場を盛り上げていたのだが、あろうことか長年“脱毛症”に苦しめられ意を決してスキンヘッドにすることを選択した女優のジェイダ・ピンケット・スミスさんに対し『G.I.ジェーンの続編を楽しみにしている』と発言。
映画『G.I.ジェーン』は、デミ・ムーアさん演じる海軍特殊部隊の主人公女性がスキンヘッドで活躍する作品である。
これにジェイダ・ピンケット・スミスさんの夫で俳優のウィル・スミスさんが激怒し、壇上のクリス・ロックさんへ詰め寄り、鋭い平手打ちを放った。
その後、ウィル・スミスさんは『ドリーム・プラン』で主演男優賞を獲得。「劇中と一緒で、私はクレイジーな父親に見えますね。でも愛は私たちにクレイジーな行動を取らせます」とコメントしつつ「アカデミー協会とほかの候補者に謝ります」と謝意を示した。
ウィル・スミスさんは、これが3度目のノミネートにして初のオスカー獲得。本来なら、最高の晴れ舞台となるはずが複雑な想いを抱かせる状況となったことは非常に残念だ。
「クリス・ロックさんは、司会を務めた2016年のアカデミー賞授賞式においても、ノミネート者が全員白人であることに抗議する意味もあったのでしょうけど、アジア系の人間を嘲笑するパフォーマンスを披露して多くの非難を集めました。
このときは、アカデミー賞の選考・授与、映画文化・映画教育・映画技術の研究に対する助成などを行う『映画芸術科学アカデミー』が『どんな要素であっても授賞式が侮辱的なものになってしまったことを遺憾に思っています。今後の授賞式では、もっとそれぞれの文化に配慮できるよう、全力を尽くします』とコメントしていたんですけどね」(メディア記者)
いわくつきの人物をプレゼンターとして起用した、映画芸術科学アカデミーのセンスには大きなブーイングを贈りたい。
(文/木暮雅人)