ファン投票を絡めた映画賞として、11月30日に発表された「報知映画賞」と、12月28日に発表予定の「日刊スポーツ映画大賞」を比較して見ていきたい。
また、こうした賞とメディアの位置付けに関する仮説として、自社主催の映画賞であれば自社メディアで遠慮なく報じられる、というものを挙げておこう。
ただしこの仮説においては、選考委員会などの非公開審査を経る場合だと外部からの圧力が多分に影響できる余地があるということも伝えておかねばなるまい。
この仮説が的を射ており、報知映画賞は外部からの圧力もあって三浦春馬さん『天外者』関連の受賞見送りという判断となったのかもしれない。
圧力のレベルの違いか、圧力に対するスタンスの違いか
と言うのも、報知映画賞はファン投票だけで決まる賞というものは現状設置していない。
いずれの賞も、ファン投票上位の中からノミネート対象を15前後選び、その中から選考委員会が最終的に受賞作品、受賞者を選ぶという仕様なのだ。
一方で、日刊スポーツ映画大賞は昨年までファン投票という要素自体がなかった。つまり、報知映画賞よりもある意味、さらに閉塞的なものだったのである。
だが、今年から「ファンが選ぶ最高作品賞」「ファンが選ぶ最高演技賞」という2つの賞を新設。
この2賞に関しては、ファン投票の後に何らかの手心を加えたりせず、そのままファン投票1位が受賞できる仕様なのだ。
純然たるファン投票のみで決まるものであるため、最後の中間発表時点で1位と伝えられていた『天外者』および三浦さんがそのまま受賞できる可能性が十分に考えられる。
とは言え、そもそも、最終結果が出る前から“【日刊映画大賞】ファンが選ぶ最高作品賞「天外者」が「るろ剣」抜き首位/中間結果”の見出しで、日刊スポーツは記事を打っていた。
スポーツ報知は、本文では少し触れていたものの、報知映画賞のファン投票締切時点で「作品賞」「主演男優賞」「監督賞」の3部門で三浦さんの『天外者』がファン投票1位だったことについて、記事のタイトルではノータッチだった。
三浦春馬さん関連、特に『天外者』に絡むものについては報道しづらい環境が、大手メディアのまわりにあることは間違いなさそうだが、より色濃く何らかの圧力の影響を受けている会社と、比較的影響の小さい会社があるのかもしれない。
あるいは、同じ圧力下にあっても、抜け道を探して抵抗しようという会社と、なすがまま屈する会社があるということだろうか。
(文/西島龍大)
~ライター略歴~
沖縄県出身
ゴーヤとミミガーが苦手というまさかの体質で大のギャンブル好き