
11月5日発売の『週刊文春』(文藝春秋)が、東北楽天ゴールデンイーグルスが10月30日に巨人から金銭トレードで獲得した甲斐拓也捕手(34)の電撃移籍の舞台裏を報じた。
甲斐は2024年オフにソフトバンクから国内FA権を行使し、5年総額15億円(推定)の大型契約で巨人入り。移籍1年目の2025年は右手中指骨折の影響で68試合出場にとどまったものの、存在感を示していた。
しかし2026年シーズンは大城卓三、岸田行倫らにポジションを奪われ、わずか13試合の出場に激減していた。
文春は関係者の証言として「当初は別の捕手の獲得を申し出たのですが交渉は不調に終わり、代案で浮上したのが甲斐の獲得だった」と伝えている。この「別の捕手」として浮上するのが、巨人の小林誠司捕手(37)だ。
小林は今季、主に抑え捕手として20試合に出場したものの、先発マスクはわずか3試合。13打数1安打と打撃機会も限定的で、甲斐と同様に出場機会に恵まれない状況が続いていた。楽天は主戦捕手の太田光が国内FA権行使の意向を示し、捕手陣の強化が急務。ドラフトでは強肩強打の大学ナンバーワン捕手と評される青山学院大学・渡部海を1位指名しており、即戦力かつ経験豊富なベテラン捕手を教育係として迎え入れたい意向があったとみられる。
小林は長年巨人の捕手陣を支え、経験とリード力に定評がある。渡部の成長を促す「教育係」としての適性を楽天側が評価し、当初は小林の獲得を打診した可能性が高い。しかし巨人側はこれを拒否。代わりに契約期間を3年残す甲斐を放出する形で決着した、というのが文春報道の構図だ。
楽天・石井一久GMは公式に「双方が合意の上で決断に至った。基本的には甲斐選手を迎え入れたい思いで相談した」と説明しているが、文春の報道は交渉の初期段階で別の選択肢があったことを示唆する。巨人では過去にもFA移籍後の選手をトレードした例(炭谷銀仁朗)があり、選手の出場機会を重視する方針が背景にあるとの指摘もある。
甲斐は11月3日の入団会見で「ものすごく勝ちに飢えている」と新天地での意欲を語り、背番号37を背負うことになった。渡部海の入団とともに、楽天の捕手陣再編が本格化する中、文春が報じた「当初のターゲット」は小林だったのか。巨人が拒否した真意も含め、今後の動向が注目される。
(文/樋口健太郎)