
ホラー小説「リング」「らせん」などで知られる作家の鈴木光司(すずき・こうじ、本名・晃司)さんが8日、東京都内の病院で死去した。68歳だった。静岡県浜松市出身。
鈴木さんは1957年5月13日生まれ。静岡県立浜松北高校、慶應義塾大学文学部仏文科を卒業。大学卒業後は専業主夫をしながら自宅で学習塾を開き、全教科を一人で教えながら小説執筆を続けた。
1990年、『楽園』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。1万年という時を超えた男女の愛を描いた壮大なスケールの作品で注目を集めた。翌1991年に刊行した『リング』は、呪いのビデオテープをめぐる新たな恐怖の形を提示し、映画化されて大ヒット。Jホラーブームの火付け役となり、社会現象にまで発展した。
1995年の続編『らせん』では第17回吉川英治文学新人賞を受賞。シリーズは『ループ』『バースデイ』へと続き、累計800万部を超えるベストセラーとなった。『仄暗い水の底から』も映画化され、ハリウッド版『ダーク・ウォーター』として世界的に知られるようになった。
2008年の『エッジ』は2013年に米国でシャーリイ・ジャクスン賞(長編部門)を受賞。日本人作家として初の快挙を成し遂げ、国際的な評価を高めた。そのほか『光射す海』『シーズ・ザ・デイ』『樹海』『ユビキタス』(2025年、16年ぶりの長編ホラー)など、ホラーやサスペンス、家族をテーマにした作品を精力的に発表。エッセイストとしても活躍し、子育て経験を活かした著作も多く、「文壇最強の子育てパパ」と称された。
鈴木さんの作品は、日常に潜む心理的な恐怖と科学的な謎を融合させた独自のスタイルで国内外の読者を魅了した。米国では「日本のスティーブン・キング」と紹介されることもあり、世界20カ国以上で翻訳出版された。
日本ホラー文学の第一人者として長年活躍した鈴木光司さんの死去に、ファンや関係者から追悼の声が相次いでいる。
(文/The Audience 編集部)