大相撲の境川部屋の三段目力士、響龍(ひびきりゅう/本名:天野光稀)さんが28日、急性呼吸不全により都内の病院で死去したと日本相撲協会が29日発表した。28歳だった。
響龍さんは3月の春場所13日目の取組で、すくい投げを食らった際に頭から土俵へ落ち、うつ伏せのまま身動きできない状態となった。
しかし、すぐに救護はされずにそのまま放置され、その間に相手力士は行事に勝ち名乗りを受けていた。
およそ1分ほどうつ伏せが続き、その後仰向けにされ、さらに5分ほど経過して担架で運び出されるという異様な光景が広がっていたのだ。
相撲協会トップである八角理事長は響龍さんの急逝に対し「ご遺族の皆様方のご傷心を察しますと、お慰めの言葉も見つかりません。私自身、突然の訃報に、ただただ驚き、茫然としております。一か月以上にわたる闘病生活、さぞ辛かったと思いますが、ご家族や師匠らの懸命の看病のもと、力士らしく、粘り強く耐え、病魔と闘ってくれました。今はただ、安らかに眠って欲しいと願っております」などとコメントしている。
救命、救護に対する意識不足
「『相撲協会の救命、救護に対する意識不足が招いた人殺し』『相撲協会は人殺し協会』だと、ネット上には数多くの怒号が響いていますよ。
大相撲は国技であり神事ですから『儀式、手順といったものを重んじる姿勢はある程度理解できますが、人命がかかった緊急事態においてもなお優先されるしきたりや神事なんてありえません』という指摘が出ていますね。
また、八角理事長のコメントに対しても『どこか他人事で、協会の責任に対して1ミリも言及してないことに恐怖しか感じません』『無名の力士の命なんて大したことないと思ってそう』『茫然としてないで、一刻も早く、頭部にダメージを受けた場合など、緊急を要するケースに対応できる環境整備をしろよ』と不満を訴える声が聞こえてきています」(スポーツ記者)
若くしてこの世を去った響龍さんのご冥福をお祈りするとともに、取り組みが原因で命を失うような事態が二度と発生しないような環境整備がスムーズに進むことを切に願う。
(文/有村和巳)