
自民党総裁選真っ只中の10月1日、農林水産大臣・小泉進次郎氏(44)がX(旧Twitter)上で投稿したコメントが、ネット上で大炎上を巻き起こしている。
週刊文春(文藝春秋)の連続スクープに抗議する内容だったが、そこに込められた「責任逃れ」のニュアンスが「呆れを通り越して怒り」を呼び、野党支持層から自民党内まで批判の嵐。総裁選の行方を左右する「進次郎劇場」に、新たな暗雲が立ち込めている。
事の発端は、9月25日発売の週刊文春が報じた「ステマ指示」疑惑だ。小泉陣営が、ニコニコ動画の総裁選関連配信に好意的なコメントを書き込むよう、支援者らに具体的な文例(例:「石破さんを説得できたのスゴい」)をメールで送付していたというもの。さらに、陣営の広報担当だった牧島かれん元デジタル相の事務所がこれを主導したと指摘された。
小泉陣営は同日、事実関係を大筋で認め、「行き過ぎた表現だった」と釈明。農水相本人は27日の会見で「最後の責任は私にあります。責任をしっかりと背負った上で戦い抜きたい」と述べ、一定の謝罪を示したかに見えた。しかし、この「責任」発言は、後の投稿で一転して「逃げ」の象徴となる。
追い打ちをかけたのが、9月30日配信の文春オンライン記事「小泉進次郎の地元・神奈川県で高市派自民党員が離党させられていた『826人が勝手に…』前衆院議員が実名告白」。小泉氏が会長を務める神奈川県連で、6月に側近の県議指示により、826人の党員が無断で離党処理されていたことが発覚。しかもその9割超が高市早苗前経済安保相支持派で、総裁選直前の「票操作」疑惑として波紋を呼んだ。元支部長は「高市派を狙い撃ちした」と証言し、選管資料の訂正記録も入手された。
これに対し、神奈川県連の梅沢裕之幹事長は1日の会見で「支部長交代時の名簿引き継ぎミス」と弁明したが、タイミングの悪さと高市派集中が「作為的」との疑念を払拭できていない。
そんな中、小泉氏本人が1日午前、Xに投稿したのが「2025年9月30日夜に配信された週刊文春オンラインの記事は、事実に反し、総裁選に不当な影響を与えかねないものです。訂正を求めます。神奈川県連の説明通り、事務的ミスであり、私自身はこのような事態を全く把握しておりませんでした。下部組織の運営は自治的に任せており、責任を取るつもりもありません。総裁選に集中したいと思います」という内容。全文は日刊スポーツなどで報じられたが、核心は「全く把握しておりませんでした。下部組織の運営は自治的に任せており、責任を取るつもりもありません」。
この「宣言」は、ステマ疑惑での「責任は私に」との会見発言と真逆。県連会長として党員管理の監督責任を負う立場で、「把握してない」「責任取らない」と公言したことで、ネット民の反発を爆発させた。投稿直後、Xでは「#小泉進次郎辞退」がトレンド入りし、呆れと怒りの声が殺到した。
Yahoo!ニュースのコメント欄でも「立候補取り消せ」「大きなダメージ」との声が相次ぎ、総裁選の党員票(神奈川県分)に悪影響を及ぼすとの指摘が目立つ。一部では「親の七光りでここまで来て、責任感ゼロ。ポエムだけじゃ国は守れない」との過去発言(奨学金問題など)を引き合いに出す投稿も。
このポストは、ステマ疑惑の「責任は私に」から一転した「無責任」イメージを植え付け、支持離れを加速させる可能性が高い。神奈川県の党員票は総裁選の鍵を握るが、826人離党問題で「票操作」の烙印を押され、挽回は難航しそうだ。野党側は「自民の体質そのもの」と追及を強め、党内高市派からも「贔屓の引き倒し」との不満が漏れている。
小泉氏の陣営は沈黙を続けているが、総裁選投開票(10月4日)まであと3日。果たしてこの「宣言」は、進次郎ブランドの墓穴を掘ったのか? それとも、ただの「ポエム」として忘れ去られるのか。ネットの呆れ声は、少なくとも一つの結論を突きつけている――「責任を取る気がないなら、総理の椅子に座る資格なし」。
(文/二宮誠司)