
9月10日、米国の保守系政治活動家でターニングポイントUSAの創設者であるチャーリー・カーク氏(31)が、ユタ州オレムのユタバレー大学(UVU)で開催された公開討論イベント中に銃撃され死亡した。
カーク氏は討論会で、学生の質問に答えている最中に首付近を銃撃された。現地時間12:10頃、約200ヤード(180メートル)離れた建物から発射された単発の銃弾が命中し、カーク氏は病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。
事件直後、ドナルド・トランプ大統領がTruth Socialでカーク氏の死を発表し、「偉大で伝説的なチャーリー・カークが死にました。彼ほどアメリカの若者の心を理解した者はいなかった」と悼んだ。
事件は、カーク氏が主催するターニングポイントUSAのイベント中に発生。カーク氏は学生との公開討論で、移民政策や銃規制、ギャング暴力に関する質問に答えていたところ、突如銃声が響き、首に銃弾を受けた。現場の映像では、カーク氏が椅子に座ってマイクで話している最中に頭が後ろにのけぞり、首付近から大量の血が噴き出て倒れる様子が映し出され、会場はパニックに陥った。
警察は当初、20代後半の男性を重要参考人として拘束したが、尋問後に釈放。FBIのキャッシュ・パテル長官は「捜査は継続中であり、容疑者の特定に向けて全力を尽くしている」と述べた。 現時点で犯人の動機は不明だが、政治的対立による単独犯行の可能性が高いとされている。一部報道では、手製の銃が使用された可能性が指摘されており、さらなる調査が進められている。
カーク氏の暗殺は、2022年7月8日に奈良市で安倍晋三元首相が銃撃され暗殺された事件と複数の共通点があるとして、国内外で注目を集めている。主な共通点は以下の通り。
1.公開演説中の銃撃: 安倍氏は選挙応援演説中に背後から銃撃され、カーク氏は公開討論中に遠距離から撃たれた。どちらも公の場での発言中に襲撃された。
2.首付近への攻撃: 安倍氏は首と胸部に銃弾を受け、カーク氏も首に銃弾が命中。致命的な部位を狙った攻撃である点が一致する。
3.政治的対立の背景: 安倍氏は統一教会やリベラル派との対立が背景にあり、カーク氏も保守派とリベラル派の激しい対立の中で標的となった。両者とも強い政治的信念を公に発信していた。
4.手製銃の可能性: 安倍氏の事件では手製の散弾銃が使用されたが、カーク氏の事件でも手製の武器が使われた可能性が報じられており、類似性が議論されている。
SNSでは、「安倍元首相の暗殺を彷彿とさせる」「政治的暴力が世界中で増えている」との投稿が相次ぎ、両事件の類似性に驚く声が広がっている。
カーク氏は2012年にターニングポイントUSAを設立し、保守派の若者向けに政治活動を展開。トランプ前大統領の再選を支援し、反移民政策、銃規制反対、伝統的価値観の擁護を訴えた。XやYouTubeでのフォロワー数は数百万に上り、ワシントン・ポストは彼を「右派の最も著名な声の一つ」と評した。 しかし、過激な発言から「分断を煽る」との批判も受け、大学での講演では抗議デモが頻発していた。
カーク氏の死を受け、保守派支持者からは「言論の自由への攻撃だ」「若者のリーダーを失った」との声が上がり、リベラル派の一部からは「過激な発言が暴力につながった」との意見も出ている。
(文/二宮誠司)