
NHKの連続テレビ小説『あんぱん』で、細田佳央太さんが演じる“豪ちゃん”こと原豪の運命をめぐり、ファンの間で熱い議論が繰り広げられてきた。
原豪は、主人公・朝田のぶ(今田美桜さん)の物語に深く関わる若き石工で、蘭子(河合優実さん)との切ない恋物語が視聴者の心を掴んだ。
しかし、ドラマ内で彼が戦地で戦死したとの通知が届き、ファンの間に衝撃が走った。それでも、「実は生きていた」という展開を期待する声が一部で根強く、SNS上では「豪ちゃん生存説」がささやかれていた。
この希望は、6月25日放送のNHK『午後LIVE ニュースーン』で完全に打ち砕かれた。
同番組にゲスト出演した『あんぱん』のプロデューサーが、「豪ちゃんは亡くなっています」と明言。原豪の戦死がドラマの公式な設定であることを明確にし、ファンが抱いていた「奇跡の生還」への期待を断ち切った。
この発言は、視聴者にとって衝撃的なもので、放送後、SNSでは「豪ちゃん本当に亡くなった…」「信じたかったのに」と悲しみの声が溢れた。
原豪は、釜次(吉田鋼太郎)の弟子として朝田家に住み込み、誠実で不器用ながらも蘭子への純粋な想いを抱くキャラクターとして描かれた。戦地へ出征する直前、蘭子と結ばれるシーンは多くの視聴者を感動させたが、その後の戦死の報せが物語に重い影を落とした。
特に、5月20日の放送で戦死通知が描かれた際、蘭子の表情や釜次の崩れ落ちる姿に涙した視聴者が多く、SNSでは「豪ちゃん…嘘だろ」「蘭子が可哀想すぎる」との投稿が相次いだ。
ファンが「生存説」に望みを託した背景には、朝ドラ特有の「希望を失わない物語」という期待や、原豪のキャラクターへの愛着があった。あるファンは、「クレジットに細田佳央太の名前が残っていて、回想シーンじゃないから生きてるかもと期待した」と投稿していたが、プロデューサーの発言によりその可能性は否定された。
『あんぱん』は、アンパンマンの原作者・やなせたかしとその妻・暢をモデルにしたフィクション作品で、激動の時代を生き抜く夫婦の愛と勇気を描く。原豪の死は、戦争の残酷さと時代の悲劇を象徴する要素として、物語に深い余韻を残している。プロデューサーの発言を受け、視聴者は改めて戦争の無常さを感じつつ、物語の今後の展開に注目している。
「豪ちゃんの死は受け入れたくないけど、これが戦争の現実なんだよね」「蘭子がどう立ち直るか見届ける」と、悲しみを抱えながらも物語を応援する声も上がっている。
(文/西野麻衣)
~ライター略歴~
茨城県出身
シナリオライター、エッセイスト、芸能ライターと多岐にわたる執筆業を行っている