
1月23日に芸能界引退を発表した元タレント・中居正広(52)の名前を冠したハッシュタグ「#中居くん大好き」が、4月21日早朝からX上で再びトレンド入りを果たした。
引退から約3カ月、ファン総称「中居ヅラ」による投稿が相次ぎ、中居への変わらぬ支持と、性被害疑惑を巡る議論が交錯している。
Xでは、中居の引退を惜しむ声や、性被害疑惑に対する疑問を投げかける投稿が目立った。
あるファンは「#中居くん大好き 結局、警察や弁護士から明確な情報は出た? やましいことがなければ性交渉の詳細を話せって言うけど、相手がいる問題でそんな簡単じゃないよね。暴力はなかったって本人が言ってるのに信じないのはなぜ?」と、疑惑報道の曖昧さに不信感を表明。
別の投稿では「中居くんはいつも優しくて楽しませてくれた。平穏な生活を送ってほしいし、ずっと応援してる」と、変わらぬ愛を綴った。
また、「中居さんの名前がトレンドに上がると、世の中まだ捨てたもんじゃないって思う」「こんな汚い世界にいてほしくないけど、中居くんを感じない世界は寂しい。彼は犯罪を犯してない。ハメられただけなのに、誰かを傷つけるくらいなら全部背負う人。それが切ない」と、中居の潔い引退決断を称賛しつつ、疑惑の背景に陰謀を感じる声も。引退発表時の「最後の一人選手権」や「組合」といった中居らしいユーモアを懐かしむ投稿も見られ、ファンの絆の強さが伺えた。
Xでは、引退後も中居を擁護する声が根強い。3月31日には「#中居くんを守りたい」がトレンド入りし、「被害者とされる女性のSNSに1万件以上の誹謗中傷が寄せられた」「中居の引退文書がファンに寄り添わず、未練を残したことが過激な擁護を招いた」との指摘も。 あるユーザーは「中居はテレビ局やスポンサーの圧力で引退したのであって、被害者のためではない」と推測し、組織の責任を問う声も上がった。
一方、性被害を軽視するような擁護投稿に対し、「#中居くん大好き≒#性加害者大好き と世界に発信しているのと同じ」と厳しく批判する声も。 脚本家の山田美保子氏は「中居の責任の取り方は彼らしいが、記者会見を開き、被害者がさらに傷つかない形で説明すべきだった」と述べ、ファンへの配慮不足を指摘した。
この騒動は、日本のエンタメ業界全体に波及。TBS、日本テレビ、テレビ東京も自社の倫理調査を表明し、性被害問題への対応が注目されている。 週刊文春のデジタル版編集長・中村雄介氏は「ジャニーズ事務所の性被害問題と同様、外部圧力がないと業界は動かない」と指摘。 中居が2020年にジャニーズ事務所を退所していたことも、メディアが問題を報じやすかった要因とされる。
引退発表で中居は「全責任は私個人にあります」と述べ、ファンに「一度でも会いたかった」「こんなお別れで本当にごめんなさい。さようなら」と綴った。 しかし、ファンからは「中居くんの不器用な優しさが好きだけど、もっと戦ってほしかった」との声も。 SMAPの元メンバー稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾は「突然のことで感情を整理できず、言葉を失っている」と共同コメントを発表した。
「#中居くん大好き」のトレンド入りは、ファンの根強い支持と、疑惑へのモヤモヤが交錯する現状を映し出す。中居の芸能活動は終幕したが、性被害問題とメディアの責任を巡る議論は続きそうだ。ファン「中居ヅラ」は、中居の平穏な未来を願いながら、真実の解明と業界の変革を期待している。
(文/西野麻衣)
~ライター略歴~
茨城県出身
シナリオライター、エッセイスト、芸能ライターと多岐にわたる執筆業を行っている