中日、DeNAで活躍のトニ・ブランコさん、死去直前に見せた英雄的な行動…西武、オリックスで活躍のエステバン・ヘルマンを身を挺して守った | The Audience
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中日、DeNAで活躍のトニ・ブランコさん、死去直前に見せた英雄的な行動…西武、オリックスで活躍のエステバン・ヘルマンを身を挺して守った

中日、DeNAで活躍のトニ・ブランコさん、死去直前に見せた英雄的な行動…西武、オリックスで活躍のエステバン・ヘルマンを身を挺して守った
トニ・ブランコさん

 2025年4月8日(日本時間9日)、日本プロ野球で活躍したトニ・ブランコ氏が、母国ドミニカ共和国の首都サントドミンゴで起きた悲劇的な事故により43歳でこの世を去った。ナイトクラブ「ジェットセット」の天井崩落事故に巻き込まれた彼は、60人以上の命を奪った大惨事の中で、最後の瞬間に元同僚エステバン・ヘルマン氏を救う行動を取っていたことが明らかになった。

 事故当時、現場にはブランコ氏と共に、かつて西武やオリックスでプレーしたエステバン・ヘルマン氏も居合わせていた。ドミニカ共和国の記者ヘクトル・ゴメス氏が伝えたヘルマン氏の証言によると、トイレから戻り席に着こうとした瞬間、天井の一部が崩れ落ちてくるのをブランコ氏が察知。咄嗟にヘルマン氏を突き飛ばし、彼を瓦礫の下敷きになる危機から救ったという。しかし、その直後、ブランコ氏自身は崩落に巻き込まれ、命を落とした。
 
 ブランコ氏は2009年に中日ドラゴンズで日本でのキャリアをスタートさせ、初年度から39本塁打、110打点でセ・リーグの2冠王に輝くなど、その圧倒的なパワーでファンを魅了した。その後、DeNAに移籍した2013年には打率.333、41本塁打、136打点で再び2冠を獲得し、オリックスでも2年間プレー。NPB通算181本塁打を記録したスラッガーとして知られている。一方、ヘルマン氏は2012年から西武、2014年からオリックスでプレーし、2015年にはブランコ氏とチームメイトだった。

 この事故は、ブランコ氏だけでなく、元MLB投手のオクタビオ・ドーテル氏ら多くの著名人を巻き込んだ悲劇として報じられている。現地メディアによると、死者は少なくとも58人、負傷者は160人以上に上り、ドミニカ共和国政府は3日間の服喪期間を宣言した。
 
 ブランコ氏の最後の行動は、彼の人間性を象徴するものだった。野球選手としての優れた反射神経と瞬時の判断力、そして何よりも仲間を守ろうとする強い意志が、ヘルマン氏の命を救った。彼の死は日本とドミニカ共和国の野球界に大きな衝撃を与え、多くのファンや関係者がその勇気ある行動と功績を称賛している。

 かつてのチームメイトやファンからは、「トニ・ブランコは最後までヒーローだった」「彼の応援歌が今でも耳に残っている」と悼む声が上がっている。
 
 ブランコ氏のご冥福を心よりお祈りするとともに、彼の遺した勇気と優しさが永遠に記憶されることを願う。
 
(文/牛島光彦)