性加害問題を受け、ジャニーズ事務所から名称変更した「SMILE-UP.」が、事務所の前社長で現在も代表取締役の職に残留している藤島ジュリー景子さんが、8月までにすべての関連会社の代表取締役会長を退任したと明らかにした。
今年の5~8月の間に、音楽の権利を管理する「ブライト・ノート・ミュージック」、音楽や映像ソフトを製作・販売する「MENT RECORDING」と「グルーヴ・ミュージックカンパニー」、コンサート制作やチケット販売を行う「ヤング・コミュニケーション」の4つの関連会社について、代表取締役会長から退任。
引き続き、SMILE-UP.の代表取締役にはとどまるという。
会長職についていた関連会社からはこれまで、藤島ジュリー景子さんに役員報酬が支払われ続けていたという。
また、「退任以前から経営には関与しておらず、グループ会社の個々の株主構成などの詳細は公表していませんが、株主配当については無配当となります」と、保有株からの配当収入はないことを強調している。
ただし、その大半を占有しているとみられる株を手放すかどうかについては明かしていない。
会長や社長含め重役から離れ、株による配当を得ない状況を作ったとしても、株の保有割合が自身や親族の合計で51%以上であれば、いつでも経営に口を出すことができる。いや、実質、すべての経営に関する決定権を保持し続けることになる。
今回の発表に、創業家による独占的な経営体制からの脱却を証明できる要素はほとんどなく、NHKなどが求める「新会社(STARTO ENTERTAINMENT)の資本構成や経営ガバナンス」の点においても透明性を得たとは到底言えない。
今後も、SMILE-UP.、STARTOおよび関連会社の実効支配(株の保有割合)について、注視していく必要があるだろう。
(文/福田優太郎)