中国の通信社、中国新聞社が14日、同国発のSNSである微博(ウェイボー)の公式アカウントで、パリ五輪卓球の中国人金メダリスト2人が、女子個人で銅メダル、女子団体で銀メダルを獲得した早田ひな選手の微博アカウントのフォローを外したことを報じた。
早田選手が帰国後の記者会見で「鹿児島の特攻資料館に行きたい」と発言したことが影響しているという。
フォローを外したのは、女子個人で銀メダル、混合ダブルスと女子団体で金メダルを獲得した孫穎莎選手と、男子個人と男子団体でいずれも金メダルを獲得した樊振東選手。
そもそも、樊選手の勧めを受けて早田選手は微博のアカウントを開設したという。
早田選手の「特攻資料館に行きたい」発言は、戦争や侵略、虐殺を賛美するものではなく、戦争の悲惨さ、自身の意思に関係なく“日本の未来のため”という名目で尊い命を捧げざるを得なかった若者たちの想いに触れることで、今自分が自由に生きられていることと真摯に向き合いたいという趣旨のもの。決して責められるようなものではない。
一方で、孫選手、樊選手の“フォローを外す”という、ある種、政治的なメッセージをはらんだ行為も、本人たちの個人的な考えや思想に基づくというより、強烈な言論統制下にある中国にあっては、そうせざるを得ないものだったという見方もできるだろう。
(文/潮崎達至)