18日、夏の甲子園を目指す高校野球選手権山梨大会の準々決勝、東海大甲府 VS 山梨学院 で信じられない悪質プレーが起こっていたとしてSNSを中心にネットで大きな話題となっている。
問題のプレーは、2-0と東海大甲府が2点リードで迎えた、5回表、山梨学院の攻撃で発生。
二死二塁から、4番・横山悠くんがレフト前ヒット。ここで、二走・梅村団くんが一気にホーム生還を目指し、レフトから際どい返球があったものの間一髪セーフ。2-1と山梨学院が1点差に迫った。
しかし、本塁上でのクロスプレーの映像をよく見ると、いったん東海大甲府・岡田翔豪くんのキャッチャーミットに収まっていたボールを、球審の死角になる位置で梅村くんが手で掻き出し、しれっと三塁方向へと放り投げていたのである。
中継映像、地元テレビ局などでのハイライト映像で、問題のシーンはハッキリと映っており、これがSNSで拡散され、「山梨学院やばすぎ」「いくら勝ちたいからってこれはありえない」「審判は見えづらかったんでしょうけど、これだけハッキリ映像で残っている以上、何らかの注意やペナルティを与えるべき」「試合に負けたからOKで済ますべきではない。山梨学院に出場停止などの処分が必要では」といった批判が殺到する事態となっている。
炎上騒動の最中、山梨学院高校野球部のOBである松原翔さんは自身のX（旧Twitter）で「今回の山梨学院の得点シーンについて思うこと」を長文で語っている。
松原さんの投稿全文は以下のとおり
「今、山梨学院VS東海大甲府の得点シーンがSNSを通してかなりの批判が上がり炎上しています。自分自身も動画を見て、『これはいけないな』と思ったのですが、あまりにもSNSでの取り上げ方、批判のコメントの度が過ぎてるのかなと思っています。今回の事に対していい思いを持っていらっしゃらない方がとても多くいるのはとてもわかります。見ていていい思いをしないプレーではあるので。自分もこれは良くないと思っています。ですが、あくまで部活動の大会、ワンプレーに対して、また、学校やプレーをしてしまった本人に対しての誹謗中傷は違うのではないのかと思いました。自分自身も山梨学院高校の選手として、この最後の夏の集大成の大会のために頑張っていました。『何としてでも勝つ』『絶対に負けられない』、また今回のプレーをしてしまった選手はまだ2年生です。尚更、『先輩たちのために』と思ってしまう気持ちがわかります。負けないため、死ぬような練習を乗り越えて来たので。今回のプレーはそれだけ必死になって行ったプレーが、結果、スポーツマンとしてはいけないプレーになってしまったのだと思います。
それをも理解してないネットで誹謗中傷や、取り上げをする人達に今回、すごい腹を立ててしまいました。そこまでわかってないような人達が軽々しくSNSなどに簡単に書き込み、取り上げをしないで欲しいなと思いました。理解してほしいとは思いません、ですが、わざわざそのような取り上げをする必要はないのではないかと思っただけです。今回のプレーをした選手はまだ2年生です。来年もあります。自分自身も実際に関わらせてもらって、とても期待できる選手だなとも思っています。今回の件で選手の未来を潰してしまうかもしれません。彼ら高校生は芸能人でも何でもありません。未来がある選手達をSNSで潰してしまうようなことはやめて欲しいなと思いました。今年の夏の悔しさを胸に来年は頑張って欲しいなと思います。」（原文ママ）
当然、誹謗中傷は許されることではない。その点は間違いない。
だが、スポーツマンシップ、引いては人としてどうなのかという悪質なプレーに大きな注目が集まること、そのプレーの結果として、何らかの注意やペナルティがあるのか、プレーについて本人やチームが反省し再発防止へと意識が進むのかについて議論が巻き起こることは自然なことなのではないだろうか。
やられた側にしてみれば、死ぬ気で練習してきたにもかかわらず、悪質なプレーで甲子園出場や優勝といった夢が断たれる可能性があった。今回の場合は、東海大甲府が勝利を収めたからその可能性が潰せたものの、この点について加害サイドのOBとして配慮ある言葉があっても良かったのではないだろうか。
（文／潮崎達至）