昨年7月2日に、札幌・すすきのの“ホテル レッツすすきの（HOTEL LET'S SUSUKINO ※旧 ラ・メール ヴィラ）”客室内で、首を切断され頭部がない状態の男性遺体が見つかった事件。
殺人や遺体損壊などの罪に問われている田村瑠奈被告の母親で、死体遺棄ほう助などの罪に問われている田村浩子被告の第2回公判が、札幌地方裁判所で1日に行われた。
この日は、瑠奈被告の父親で、浩子被告の夫である精神科医・田村修被告が証人として出廷。
事件よりも前、瑠奈被告が初めて被害者に会った際、クラブで意気投合しラブホテルへと2人で向かい、複数回の性行為に及んだこと。最後の行為の際、被害者が瑠奈被告との約束を破り、避妊具をつけずに中出しされたことに激しい怒りを覚えていたことは、すでに報じられている。
その後、瑠奈被告は強い復讐心を持ち、被害者へ「（プレイについて）前回は私が責められたので、次は私が責める番」と直接予告していたという。
今回の公判で、修被告は「自宅のリビングの真ん中で『正座して、手を後ろに回して、目を閉じて』と娘に言われました。『手錠と目隠しをしていると思って座って』と。背後からモゾモゾする気配があり、スカーフで頬や首筋を触られる感触がありました」と、瑠奈被告と自宅で行ったSMプレイの予行練習について克明に語った。
さらに、「被害者と会った時のSMの練習だと思った。後ろから頬や首筋をサワサワしたらどんな気分になるのかを知りたいのだろうと。娘に『どんな感じ？』と聞かれ、『ゾクゾクするね』と答えたら、満足そうにしていた」とも。
そのうえで、娘がSMプレイを強く嗜好し、SMプレイで被害者にされたことへの意趣返しを狙っているとは考えても、娘の一連の動向から殺意を感じ取りながら、これを容認した、という検察側の指摘を否認する立場をとった。
裁判の行方とは別に、親子でSMプレイの迫真のリハーサルを行っていたという状況からは、あらためて“歪んだ家族”の実情が浮き彫りになったと言えるだろう。
（文／福島秀明）