13日、メットライフドームで行われた西武対ソフトバンクの一戦。
3-0とソフトバンクがリードして迎えた6回表、西武・松井稼頭央監督がマウンドへ送ったのは、回跨ぎの不得意ぶりに定評がある水上由伸。
実質、敗戦処理の役割となっている水上は、先頭の牧原大成にセーフティーバントを決められると、2つの四球を与え一死満塁のピンチを招く。
ここで迎えたのが、昨シーズンまで西武でプレー。不祥事や不義理FA移籍騒動などがあったソフトバンクの山川穂高。
水上は2球続けて真ん中付近にシュートを投じるも、山川のバットはこれを捉え切れず、あっという間に2ストライク。しかし、続く3球目のスライダーは捕手の構えのはるか上となる、外角高めのゾーンへ。これを山川がフルスイングし、打球があっという間にレフトスタンドへと消えていく満塁ホームランとなった。
西武ファンにとって、悪夢のような展開となったが、悪夢はこれで終わりではなかった。
7-0で迎えた8回表、松井監督は試合開始前の時点で防御率7.36の豆田泰志をマウンドへ送る。すると、6回表の再現のようにあっという間に無死満塁のピンチを作ることに成功。
そして、打席にはまたも山川。豆田が投じた2球目、打ってくださいと言わんばかりのど真ん中ストレートを山川が打つと、白球は一瞬にしてレフトスタンド上段に突き刺さった。
山川自身にとっては初、プロ野球史上2人目となる2打席連続グランドスラムの瞬間だった。
松井監督の采配には、西武ファンなどから「謎の温情采配」「松井の目には、今も山川が味方に見えているんだろ」「2打席連続でホームラン競争みたいな打ちやすい球を投げさせてて草」「苦しむ山川穂高を助ける松井稼頭央。お前スパイか」といった声が上がっている。
(文/中牟田晃)