英BBCニュースが、30日に放送を予定している、昨年報じたジャニーズ問題に関するドキュメンタリー番組の続編に先立ち、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の社長・東山紀之さんへのインタビューの様子などについて、ショートバージョンの動画を公開した。
東山さんは、動画の中で以下3点の重大事実および私見に言及。
・ジャニー喜多川以外にも2人、性加害者がいる
・上記加害者を被害者が刑事告訴するなら協力するけど、被害者が誰だか分からない
・誹謗中傷は無くしたいが言論の自由もある
この動画はSNSを中心に大きな波紋を呼び、SMILE-UP.は同日夜、慌てて声明を発表。
加害者2人については「昨年9月までに厳正に処分した」とした。ただし、どのような処分をしたのか、この2人がどのような役割を同事務所内で果たしていたのかなどは一切明言していない。
また、「今後、本事象についての申告があった場合は、申告内容の検証と被害救済に真摯に対応してまいる所存」としている。
しかし、網羅的な調査を行っていないため、今回問題となっている2人以外にも、性加害など極めて悪質なハラスメント行為に及んでいる関係者がほかに存在する可能性は否めない。
例えば、東山さんはパワハラやセクハラについて、会見で指摘され、いったんは否定しながら、「あったかもしれない」と発言し、その後、再び「一切なかった」という立場を表明した。
これについても、あくまでも加害が疑われた東山さんの弁明を聞いただけに過ぎない。被害を訴えている者や、言えずにいるサイレント被害者にまで網を広げて初めて、きちんとした調査を行ったと言える。
アイドルグループ「なにわ男子」の大西流星さんは、ジャニーズJr.時代に、同じジャニーズJr.複数名に対し性加害に及んだと、被害者のうち2人から告発されている。
この件についても、告発している当人たちはもちろんのこと、同時期に合宿所に出入りするなどして大西さんと接触する機会があった現役タレント、ジュニア、社員らに「あなたも被害に遭っていませんか」と丁寧に調査をするべきである。
すでに疑惑が指摘されている東山さん、大西さんはもちろんのこと、同社関係者の誰からであろうと、性加害、セクハラ、パワハラを含めたあらゆるハラスメントの被害に遭った者がいないかを、あらためて広く調査すべき。
出来得る限り、網羅的に調査を実施すべきなのである。
当然、加害が疑われている側だけでなく、すでに補償支払いが完了した者を含め、被害に遭ったすべての人に対し、「再度の聴取で恐れ入りますが」と頭を下げたうえで「ジャニー喜多川に限らず、性加害(セクハラ含む)およびパワハラなどあらゆるハラスメント行為が、事務所関係者などからなかったか、今一度お話を聞かせてください」と平身低頭お願いし、徹底的に膿を出し切らねばなるまい。
1回目の会見があった昨年9月から半年以上を経過して、新たな事実とあまりにも杜撰な調査実態が表面化した以上、それくらいのことをしなければ、この事務所は名前や多少の形式を変えた程度では、快方に向かうとは到底考えられない。
(文/福田優太郎)