「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた40代後半の男性が、10月中旬に大阪の山中で首を吊って自殺していたことが11月14日に分かった。男性は、性加害を告発したことに対する苛烈な誹謗中傷に苦しんでいたという。
あれから1ヶ月が経とうとしているが、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)は、性加害の被害者に向けてのみ「誹謗中傷は絶対にやめて」と手短に注意喚起しただけ。
いや、被害者に注意喚起してどうするというのだ。おかしな悪ふざけはやめていただきたい。
また、12月10日中も、井ノ原快彦さん、Snow Manのラウールさん、King&Princeの永瀬廉さん、なにわ男子の大西流星さんなどが「FAMILY CLUB web」内のブログを更新。
同ブログは、毎日50人以上の所属タレントが更新し、ファンに向けたメッセージを届けているものの、11月14日以降に「誹謗中傷をやめよう」という注意喚起を綴ったケースは皆無だ。
ファンの一部が過激な誹謗中傷を繰り返している、中には自身の書き込みなどが誹謗中傷に該当しているということを理解していない者もいる、そう言われているにもかかわらず、事務所もタレントも「誹謗中傷はやめましょう」「こうした例が誹謗中傷にあたる」といった通知を行うなどの、問題解決への努力をことごとく怠っているのである。
そんな中、所属タレントたちがエージェント契約、あるいはマネージメント契約を結ぶ予定の新会社が「STARTO ENTERTAINMENT」という名称になり、同社の社長(代表取締役CEO)にはコンサルティング会社社長の福田淳さんが就任することが8日、発表された。
福田さんは9日、新聞通信ごく数社だけを招いての懇親会で、「誹謗中傷への注意喚起をしないのか」との問いに対し「しない」と明言。さらに「タレントが呼びかける必要もない。誹謗中傷の対策については国の政策などに任せればいい」との立場をとったという。
今なお、旧ジャニーズは「人権への意識」が極めて希薄なままであると言わざるを得ないだろう。
(文/福田優太郎)