11日から全国公開スタートとなった、役所広司さん主演の映画『すばらしき世界』(配給:ワーナー・ブラザース映画)。
役所さんが演じるのは、人生の大半を刑務所で過ごし、このほど13年の刑期を終え出所してきた元殺人犯・三上正夫。
三上を取材対象として近付くテレビマン・津乃田を仲野太賀さんが演じている。
“観客賞”と“最優秀演技賞”のW受賞
『すばらしき世界』は、昨年10月に「第56回シカゴ国際映画祭」インターナショナル・コンペティション部門において、“観客賞”と“最優秀演技賞”のW受賞を果たしている。
“最優秀演技賞”は、男優、女優という括りがなく、出品された作品に出演するすべての俳優を対象に選ぶものであり、役所さんが世界一との評価を受けたことを意味している。
役所さんの演技の幅広さ、奥深さはこれまでの数多の作品が証明してきているが、『すばらしき世界』で初共演となった仲野太賀さんは、初日舞台挨拶や番宣を兼ねて出演したテレビ番組などで役所さんへの熱い想いを語った。
「初日舞台挨拶の際に仲野さんは『皆さんも周知のとおり、役所さんは本当に偉大な俳優さんです。役所さんの目を見ていると目の奥が寂しそうで、それが役所さんなのか三上の目なのか境目が分からなくなっていきました。写し鏡のように役に向き合われるその姿には、役との深い対話と純粋な思いやりがありました。胸が震えて、自分で制御ができなくなることが何度もありました。役所さんと向き合うことで自分の中で津乃田という役がシンクロしていくのが分かる、それは初めての経験でした。この作品でご一緒する前と変わらず、また役所さんと共演することが僕の最大の目標です』と語っていましたね。
一方で、12日に放送された『A-Studio+』(TBS系)で仲野さんは、初めて役所さんと顔を合わせた初日の台本読みの際に『三上のセリフを読んでいる役所さんの迫力が凄すぎて、こんなことは初めてだったんですが、あまりのことに笑ってしまったんですよ』と、自分でもビックリするような反応が出てしまうほどに役所さんの凄みを感じたとコメントされていましたよ」(メディア記者)
他にも、長澤まさみさん、橋爪功さん、北村有起哉さん、六角精児さんらのキャスト陣が脇を固めており、社会のレールを外れてしまった男がいかにして不寛容な現代社会を生き抜いていくのかが、実に繊細に描かれている『すばらしき世界』。
シリアスなだけでなく、クスリと笑える場面も散りばめられており、普段あまり映画を観ない方にも、たくさん映画を観ている方にもおススメできる1本となっている。
(文/吉良栄蔵)