旧ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)の創業者で元社長・ジャニー喜多川さんによる性加害問題。
同問題の拡大・定着に極めて重要な役割を担った、同事務所からテレビ各局への圧力、そして圧力を恐れたテレビ各局による同事務所への忖度。
各局が検証番組を報じ、わずかながらにその態様が見えてきたが、いまだに十分な調査・追及からは程遠い状況にある。
そんな中、10月の会見において「NGリスト」に編集長・尾形聡彦さんとキャスターの望月衣塑子さんが掲載された、同問題追及の急先鋒とも言えるオンラインニュースチャンネル『Arc Times』。
同チャンネルが9日に報じた「嫌がらせ」が物議を呼んでいる。
視聴者がSNSに綴っている内容によると、この日の『Arc Times』では、NHK関係者の「SMAP5人が揃った歌唱の過去映像は1秒でも5秒でも30秒までは一律100万円がかかる」との証言を報じたという。
例えば1週間や1ヶ月といった一定期間、繰り返し使用できるという類の使用料であれば、30秒以内の映像でも100万円ということはしばしばあること。しかし、1回きりの使用で30秒以内の映像に100万円という値段設定は極めて高額。わずか1秒だけでも100万円となれば、実質「使用不可」に等しい。
これまで、テレビ各局の音楽番組において、各種ランキング形式でSMAPの楽曲がランクインしたときなどに、他のアーティストは何度も過去映像が流れるのに対し、SMAPだけは一切映像が流れないとして、ファンが悲痛な声をたびたび上げてきた。
そのたびに、「テレビ局がまたジャニーズに忖度している」との指摘が出ていた。
しかし、その実情は、忖度のような性質のものというより、ジャニーズがわざと市場価格を逸脱した価格を設定して、SMAP潰しとも言える「嫌がらせ」をしていたというワケである。
フジテレビの場合は『SMAP×SMAP』、テレビ朝日の場合は『ぷっすま』といった具合に、SMAPの処遇をめぐる圧力に関しては、テレビ各局はいまだに検証番組においても触れないという姿勢を貫いているが、ジャニーズもテレビ各局も膿を出し切るために、今こそこの最大のタブーに触れるべきではないだろうか。
(文/福田優太郎)