17日、創業者で元社長・ジャニー喜多川さんによる性加害、これに付随して明らかとなったメディア等への圧力・忖度、悪質な隠蔽体質などにより、ジャニーズ事務所がSMILE-UP.(スマイルアップ)への社名変更を余儀なくされた。
そう、余儀なくされたのだ。
にもかかわらず、テレビを点ければどこもかしこも「61年の長い歴史に終止符が打たれました」「名前が変わりました」という決定事項の報告と、これを受けファンたちが「#ジャニーズ事務所ありがとう」「#ジュリーさんありがとう」といったハッシュタグをつけたSNS投稿を連発し、日本国内のみならず世界のトレンドにまでなったということばかりを報じるのみ。
ジャニーさんによる性加害がいかにおぞましいかに触れることもなければ、事務所内への聞き取りも、被害者たちへの丁寧なヒアリングも、事態の拡大に貢献し続けたテレビをはじめとした大手メディアの責任、これらについても一切アプローチせず。
まるでジャニーさんの大々的な葬儀のときと同じような雰囲気を造成しようとしているきらいすら感じられた。
ご存知のとおり、SMILE-UP.も、来月には設立されるタレントとエージェント契約を結ぶ新会社も、社長は東山紀之さん、副社長は井ノ原快彦さん。
2人とも、ジャニーさんの蛮行について「噂レベルでしか知らなかった」と、苦しい言い訳に終始しているが、井ノ原さんはジャニーズJr.時代の仲間などから「そんなわけがない」「当然、事態について見聞きしていた」と主張を否定されている。
東山さんにいたっては、「僕のソーセージを食え!」と後輩たちに自らの局部を皿にのせて迫ったという話もあれば、「今日(ジャニーさんが性加害するのは)お前だよ」「お前もやられて来いよ」と発言していたという被害者からの証言を『報道特集』(TBS系)で全国に報じられてすらいる。
そんな東山さんがトップに立つSMILE-UP.がしっかりとした被害者救済を行えるだろうか、被害者は勇気を持って被害状況を告白できるだろうか、新会社はこれまでの悪しき歴史・慣習を断ち切り真の出直しをできるだろうか。答えは言わずもがな「NO」だろう。
テレビは、まるで問題が解決に向かっているかのように、SMILE-UP.への協力姿勢を見せ始めているが、これを食い止めなければ、日本における人権というものは、いつまで経っても世界的に極めて低い水準であり続けるに違いない。
(文/福田優太郎)