ジャニーズ事務所の創業者で前社長・ジャニー喜多川さんによる性加害問題を巡り、同事務所が設置した「再発防止特別チーム」が29日、ガバナンス上の問題の調査結果報告書と再発防止策の提言書を同事務所の公式サイトで公表した。
ジャニーさんによる性加害については「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められた」と発表。
「ジュリー氏の代表取締役社長辞任と同族経営の弊害の防止ジャニーズ事務所が解体的出直しをするため、経営トップたる代表取締役社長を交代する必要があり、ジュリー氏は、代表取締役社長を辞任すべきと考える」と、ジャニーさんの姪で現社長・藤島ジュリー景子さんが代表を退くべきとの考えも示されたことは、想定よりもだいぶ踏み込んだ内容と捉えることもできるだろう。
早くも「文春オンライン」(文藝春秋)が、同事務所関係者の「ジュリー氏は精神的にかなり追い詰められていて、人前に出られるような状態ではない。再発防止特別チームの提言を受けた流れで、社長を退任すると聞いています」との話を報じている。
ようやく、ファミリー経営に終止符が打たれようとしているように見受けられるが、これまでの歴史を振り返れば、まだまだ安心はできない。
ジュリーさんが社長=代表取締役を辞任することは間違いないだろう。
しかし、先の保険金不正請求や街路樹枯死などの問題でのビッグモーターと同じ方法をとる可能性が十分残されているのだ。
ビッグモーターは、社長の兼重宏行さん、宏行さんの息子で副社長の兼重宏一さんがいずれもその職を辞し、建前の上では一族経営の歴史を終わらせた。
だが、同社の株式100%を保有する「ビッグアセット」の取締役には兼重父子が在任したまま。つまり、ビッグモーターのオーナーとして兼重父子が君臨したままなのだ。
ジュリーさんは、ジャニーズ事務所の株式を100%保有しているほか、関連会社10社においても代表取締役を務めている。
ジャニーズ事務所の代表取締役を退くだけでなく、真の意味で同社への影響力を完全に手放すのかどうか要注目である。
(文/福田優太郎)