岸田文雄首相の最側近であり「岸田首相の打ち出す政策はすべて彼の考えによるもの」だとして、一部では「陰の総理大臣」とも呼ばれている木原誠二官房副長官。
そんな木原氏の代理人弁護士が5日、司法記者クラブに「御通知」と題された書面を送付。
書面では「事実無根の内容であるばかりでなく、私と私の家族に対する想像を絶する著しい人権侵害」だとして、「週刊文春」(文藝春秋)の記事を即刻削除するよう求めているという。
週刊文春は前週までに、木原氏の愛人、そして愛人との間に生まれた婚外子との生活について繰り返し記事を掲載していたが、今回、木原氏が削除を求めたのはこれらの記事ではない。
6日発売の週刊文春および5日12時に公開となった「週刊文春 電子版」の“岸田最側近・木原誠二副長官〈衝撃音声〉「俺がいないと妻がすぐ連行される」”と題された記事だ。
同記事には、木原氏の妻が前夫の不審死(2006年発生)について、当時親密な関係にあった人物・Y氏に「殺しちゃった」と殺人を自白するような電話をし、現場に到着したY氏からの「どうしたんだ?」との問いに対しても「夫婦喧嘩になって夫が刃物を持ち出してきて、殺せるなら殺してみろと言われた。刃物を握らされたので切ってしまった」と打ち明けたといった話が綴られている。
これをY氏が自白したことで、未解決のままだった前夫の不審死事件を解決すべく2018年に警察の精鋭が集められ、木原氏の妻にも任意同行が求められたという。
しかし、木原氏の妻は聴取で「事件には関与していません」とし、事件当日にY氏に電話をしたことも否定。物的証拠も少なかったこと、そして「自民党の政治家の家族」ということで捜査のハードルが各段に上がり、結局、木原氏の妻は被疑者となることなく今日に至っているのだとか。
この記事の即刻削除要求に対し、週刊文春編集部は「本件記事は、ご遺族、警視庁が事情聴取した重要参考人、捜査関係者などにじゅうぶん取材を尽くした上で、記事にしており、削除に応じることはできません」と明確に拒否する姿勢を表明。
さらに「木原氏は、婚外子を巡る取材に虚偽の回答を小誌に寄せた後、それが明るみに出ると、取材を拒否。そして、本件記事では個別の事実確認に対して一切応じることなく、一括して『事実無根』として刑事告訴されるとのことです。政権中枢にある政治家のこうした対応に驚いております」とも言ってみせた。
大物政治家と文春によるバトルの行方に、大きな注目が集まる。
(文/二宮誠司)