オリックスバファローズの3勝2敗1分けで迎えた、オリックスとヤクルトスワローズの日本シリーズ第7戦。
オリックスは2試合続けて先頭打者として出場した太田椋が、プレーオフ直後にヤクルト先発サイスニードが投じた初球をバックスクリーンへ本塁打。
幸先よく1点を先制すると、5回表には無死満塁のチャンスで宗佑磨が一塁へ強烈なゴロの打球を放つも、これを一塁手のオスナが好捕し一塁キャンバスを踏んだうえで三塁ランナーを三本間に挟んで併殺。これでチャンスがついえるかに見えたが、続く中川圭太が四球を選び二死満塁と再度チャンスを拡大。ここで吉田正尚が初球で死球となり押し出しで2-0。
さらに続くラオウの愛称で知られる杉本裕太郎が左中間へヒット性のフライを飛ばすと、これを捕球するかに見えたセンターの塩見康隆が捕ることができず、3走者がいずれも生還しオリックスが5-0と完全にペースをつかむ。
なおこの場面、いったんは杉本の3点適時打となっていたが、直後に記録は塩見の失策へと変更された。
そして、オリックスの強力リリーフ陣がそのまま逃げ切りを図るも、ヤクルトが8回この回からマウンドに上がった山崎颯一郎を攻めたて、村上が右前安打で1点を返し、なおも一死一三塁からオスナが値千金の3点本塁打を左翼スタンドへ叩き込みスコアは5-4の1点差に。
しかし、山崎の後を受けた比嘉幹貴が中村悠平、サンタナを打ち取りヤクルトの勢いを遮断。
最終回はオリックスのワゲスパックが長岡秀樹、代打の内山壮真、塩見を三者凡退に抑え、見事にオリックスが26年ぶりの日本一に輝いた。
MVPは、2度のイニングまたぎを含むフル稼働ながらヤクルト打線を寄せ付けなかった宇田川優希、計9イニングを無失点かつ打っても1打点を上げた山崎福也のどちらかが有力と見られていたが、打率.231で3打点に終わった杉本が獲得。
杉本の3点適時打に見えた打球を塩見の失策にするという公式記録員の判断があった以上、杉本がMVPでは整合性が取れないように思うが、主催者の表彰委員たちはそんなことはお構いなしという考え方なのだろうか……。
表彰発表以降、ネット上には「宇田川がMVPなのでは?」「俺の中でMVPは宇田川」「なぜにラオウがMVP?」といった声が多くなっている。
なお、優秀選手には吉田正尚、山崎福也、塩見康隆、敢闘賞にはオスナが選ばれ、宇田川の個人賞獲得はならなかった。
(文/有村和巳)
~ライター略歴~
静岡県出身
大学までは野球部で白球を追いかけていた
今は野球を中心にスポーツ全般の記事を執筆している