29日15時40分に始まる夢レース・ジャパンカップ、いよいよその時が目前に迫っている。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトによる3冠馬3頭の夢の対決。アーモンドアイはここを最後に勇退することが決まっており、もう2度とこの3頭が揃っての直接対決は見られない。
いや、そもそも牡牝ともに「無敗の3冠馬」が同年度に誕生すること自体が史上初めてであり、その両雄が「お前に初めての土を付けてやろう」とぶつかる時点で夢のレースなのだ。
そこに、「芝のG1・8勝」という前馬未到の境地にたどり着き、2年前の同舞台では2分20秒6という驚異的なレコードで勝利しているアーモンドアイまでもが参戦してきた。
これ以上の夢レースはもう2度と、少なくとも筆者が生きている間にはありえないだろうと思う。
「現役最強馬は私だ!」
「芝のG1・8勝」を上げてもなお、一部の競馬ファンから「最強馬にあらず」という評価を下されているアーモンドアイが、「芝のG1・9勝」そして「無敗の3冠馬2頭に土をつけた」という肩書をプラスして現役最後の花道を飾るのか。
コントレイルあるいはデアリングタクトが制し、無敗を継続しつつ「現役最強馬は私だ!」と実力を誇示するのか。
あるいは、3頭以外の伏兵があっと驚く激走で話題をさらってしまうのか。
できることなら、このまま決着の瞬間までをもう少し長く味わっていたいが、時間は人にも馬にも平等。常に先へ先へと進んでいく。
2時間半後に、現地観戦できた極少数の競馬ファンと、テレビやネットでの中継を見守っている多くの競馬ファンから「万雷の拍手」を受けられるのはわずかに1頭。
歴史的一戦の決着の行方を、まさしく刮目したい。
(文/豊田武志)