20日、京セラドーム大阪で行われた2021年日本シリーズ第1戦オリックス対ヤクルトの試合はまさかまさかの連続となった。
オリックス山本由伸、ヤクルト奥川恭伸というエース同士の先発となったこのゲーム。
大方の予想通り、両エースがその実力を如何なく発揮しゲームは息詰まる投手戦に。5回を終えても互いに譲らず0-0の展開。
ここで、日本代表としてなど大舞台での経験、そしてプロとしての経験でもはるかに上回る山本が奥川よりも先に崩れる。
序盤から球数が多くなっていた山本は、迎えた6回表一死一二塁のピンチでヤクルト中村にセンター前適時打を浴び先制点を許した。
逆に、シーズンでの初勝利を今年挙げたばかりの奥川は少ない球数でスイスイとオリックス打線を封じ、日本シリーズのプレッシャーなどなんのそのという投球を続けていた。
ところが、7回裏一死ランナーなしから代打のモヤに手痛い一発を被弾しゲームは振り出しに。
どちらに流れが傾くか分からない展開となった直後の8回表、今度はヤクルト村上がオリックス3番手のヒギンスから、センターバックスクリーンへとライナーで突き刺す2点ホームランを放ちヤクルトが主導権を握る。
そのまま、ヤクルトが2点差を保ったままゲームは9回裏。ヤクルトはマウンドへ守護神のマクガフを送る。
ところがマクガフは、先頭の紅林を3球で2ストライクに追い込むものの、粘られた末にヒットを許し先頭打者を出塁させてしまう。
オリックスはここで、代打の切り札、シーズン中の代打での打率が.429のジョーンズを打席へ。こちらも3球で2ストライクに追い込まれるものの、粘って四球を勝ち取る。
さらに、次の打者・福田が三塁方向へ見せた犠打をマクガフがフィルダースチョイスし、無死満塁に。
宗が追い込まれながらもしぶとくセンター前へ2点適時打を放ち、ついにゲームは3-3の同点。
さらに無死一二塁からオリックス吉田が初球を捉えセンターの頭上を破る二塁打を放ち、怒涛の攻撃でオリックスが4-3とサヨナラ勝ちを収めた。
ついに、2019年から続いていたセ・リーグ球団の連敗が12で、さらにはパ・リーグ球団の本拠地での連勝も19で止まるかと思われたが、どちらも継続。
セ・リーグ球団の日本シリーズ連敗記録は13、パ・リーグ球団の本拠地での連勝は20へと伸びた。
奥川という新世代の力によって、長く続いたパ高セ低の時代に終止符が打たれるかに思われたが、まだまだセ・リーグの悪夢は終わらないのかもしれない。
なお、この試合で勝利投手となったのは、プロ12年目の38歳にして日本シリーズ初登板となった比嘉幹貴投手だった。
（文／有村和巳）
～ライター略歴～
静岡県出身
大学までは野球部で白球を追いかけていた
今は野球を中心にスポーツ全般の記事を執筆している