蒼井優×中島歩×松山ケンイチ『Tシャツが乾くまで』評価急落 「生方美久作品はもう観ない」「1話で期待させられるけど7~8話以降で裏切られるパターン」の声 | The Audience
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蒼井優×中島歩×松山ケンイチ『Tシャツが乾くまで』評価急落 「生方美久作品はもう観ない」「1話で期待させられるけど7~8話以降で裏切られるパターン」の声

蒼井優×中島歩×松山ケンイチ『Tシャツが乾くまで』評価急落 「生方美久作品はもう観ない」「1話で期待させられるけど7~8話以降で裏切られるパターン」の声
『Tシャツが乾くまで』

 TBS金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』の空気が、終盤に入って変わった。

 初回は「情報量が多いのに先が気になる」とトレンド1位になり、考察も盛んだった。それが今、「もうこの脚本家のドラマは観ない」「1話で期待させられるのに、7〜8話で毎回裏切られる」といった声に傾いている。
 
 脚本は『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』の生方美久さん。主演は18年ぶりの地上波連ドラ主演となる蒼井優さん。中島歩さん、松山ケンイチさん、夏帆さんが二つの夫婦を演じる。
 
 布陣は豪華で、序盤の評判も悪くなかった。問題は、話が進むほど「最初に見せられた作品」と「後半の作品」が別物に感じられる人が増えたことだ。

 視聴率や再生数といった数字だけ見ると、急落とは言いにくい。世帯視聴率は初回6.9%、第8話は8.1%で番組最高。TVerの再生も金曜ドラマ枠の記録を更新している。
 
 落ちているのは視聴率より、感想の温度だ。SNSでは「私、もうこの先この脚本家のドラマ観ないかも」との投稿が広がり、Xでは「T乾は第7話までだった」という言い方も出た。1話の引きは上手い。その上手さの先で、人物もトーンも変わる。その型自体が、生方作品の既視感として語られている。

 物語はバス事故から始まる。妻を亡くした樹生(中島さん)と、夫が消えた咲子(蒼井さん)が、相手の配偶者の秘密を追う。松山さんが演じる充の帰還、夏帆さんが演じるあずさとの「第3金曜日」が核になり、序盤はサスペンスとして読まれた。
 
 転機は第8話「逃避と詮索」だ。咲子の服装と空気が急変し、充が「自分の知らない妻」を周囲に聞く会話劇へ移る。支持する側は「いちばんすきな花」寄りの人間観察で、考察ブームを突き放して痛快だと見る。合わない側は「キャラが急に別人」「そんな人いる?というセリフがうっとうしい」と切り捨てる。

 生方さん本人は、本作を「共感や感動を目指した物語ではない。人間観察で」と位置づけてきた。1話のクリフハンガーが上手い、という評価は初回からある。ただその上手さが、終盤の着地まで持つかどうかは別の話だ。『海のはじまり』でも中盤以降に主人公の醜さが出て、感情移入していた人ほど冷めやすい、という指摘はあった。今回もその延長で見られている。
 
 演技そのものを否定する声は少ない。蒼井さんの泣きと沈黙、中島さんが途中から一番まともに見える役回りになる点、松山さんの「帰ってきたのに居場所がない」感じは、脚本の賛否と切り離して高く評価されている。

 最終回は9月11日。数字は高いまま終わる可能性もある。残るのは、「次も生方さんなら観る」と思っていた層が、ここで一度離れるかどうかだ。1話で期待させて、7〜8話で味を変える。その型が好きな人もいれば、もう飽きた人もいるだろう。今はその分かれ目にあるのではないだろうか。
 
(文/江口のりお)