2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』が、4月10日に放送された第9話で平均世帯視聴率15.7％（関東地区、ビデオリサーチ調べ）を記録し、番組最高を更新した。
主演の今田美桜さんが演じるヒロイン・朝田のぶと、北村匠海さんが演じる柳井嵩の物語が視聴者の心を掴み、放送開始以来着実に支持を集めている。
『あんぱん』は、国民的アニメ「アンパンマン」の原作者であるやなせたかしさんとその妻・小松暢さんをモデルにしたフィクションドラマ。戦前から戦後にかけての激動の時代を背景に、夢と正義を追い求める二人の姿を描く。
第9話では、嵩がハガキに書かれた住所を頼りに新たな一歩を踏み出す展開が描かれ、物語の深みとキャラクターの成長が視聴者に感動を与えたようだ。この回は、個人視聴率でも8.9％を記録し、番組全体の勢いを象徴する結果となった。
初回視聴率15.4％でスタートした『あんぱん』は、第4話と第6話で15.5％を記録するなど安定した人気を維持してきたが、今回の15.7％はこれまでの記録を塗り替える快挙。SNS上でも「のぶと嵩の絆に毎朝泣かされる」「今田美桜の演技が本当に素晴らしい」と、ストーリーとキャストへの称賛が溢れている。
特に今田さんの自然体かつ情感豊かな演技は、ヒロインのぶの芯の強さと優しさを際立たせ、幅広い世代から共感を呼んでいる。
脚本を手掛ける中園ミホさんによる丁寧な人物描写や、RADWIMPSの主題歌「賜物」が織りなす情感豊かな世界観も、作品の魅力を高めている要因だろう。また、豪華な脇を固めるキャスト陣――松嶋菜々子さん、阿部サダヲさん、吉田鋼太郎さん、江口のりこさん、二宮和也さんら――の存在感も、物語に厚みを加えている。
朝ドラファンの間では、視聴率のさらなる上昇に期待が高まる一方、物語の今後の展開にも注目が集まっている。第9話での嵩の決断が、のぶとの関係や「アンパンマン」誕生への道にどう繋がっていくのか。毎朝8時の放送が、ますます見逃せないものになりそうだ。
（文／森八郎）