28日、「現代ビジネス」(講談社)が“日ハムの「値下げ要求」を突っぱねて「値上げ」した…?札幌ドーム叩きの「勘違い」と「嘘」を暴く!”のタイトルで、記事を掲載。
記事は、札幌ドーム(札幌市)を本拠地としていた北海道日本ハムファイターズが、エスコンフィールドHOKKAIDO(北広島市)に移転することになった経緯について、伝えられている話が事実とは異なる部分がいくつもあるという方向で書かれている。
日本ハムが求めた値下げを札幌市が却下したという話について、札幌市議が「議事録などを見る限り、日ハムが市や市議会に直接値下げを要望しに来た記録はありません」と証言したことなどが綴られている。
また、東京ドーム(15憶6200万円)を引き合いに、札幌ドームの年間使用料:約9億円は“ぼったくり”には当たらないという見解も記されている。
一見すると、もっともらしい論理のようにも思えるが、全体として、札幌市サイドから求められ、現代ビジネスがいわゆる「提灯記事」を書いたことは明白である。
まず、議事録について。これだけの規模の案件については、記録に残さない事前の申し入れに始まり、打ち合わせを何段階も経て、議会提案がなされるのが通例。
“値下げ”に関し、事前の申し入れや、その後の打ち合わせの段階で、札幌市サイドが強硬にこれを拒んだことで、交渉が決裂したというのが実情だろう。議事録に載っていないからと言って、日本ハムが正式に値下げを要望しなかったとするのは、強者の暴論とも言える。
次に、東京ドームとの比較について。東京のど真ん中にある、老舗球団・読売ジャイアンツの本拠地は1試合平均の観客動員数が4.2万人。
一方で、日本ハムの札幌ドームでの1試合平均の観客動員数は2.9万人ほどだった。つまり、東京ドームの3分の2ほど。
年間使用料の15.6億円と9億円を比べると、3分の2よりもやや安上がりで済んでいるように見えるが、日本ハムは球場使用料とは別に、広告売上、グッズ売上などの一部についても札幌ドームに支払う契約にされており、実際には年間で約20億円もの支払を余儀なくされていた。
要するに、今回の現代ビジネスの記事は、札幌市にとって都合の良い部分だけを切り取ったものだったということである。
政治の腐敗などを糾弾すべき報道メディアが、何らかの見返りをもとに、政治にとって都合の良い記事を書くようになったら、お終いだろう。
(文/二宮誠司)