西武がソフトバンクにFA移籍した山川穂高内野手の人的補償として11日、ソフトバンクから甲斐野央投手を獲得したと発表。
発表があったのは同日17時30分頃のことだったが、遡ること15時間ほど前、人的補償によりソフトバンクから西武へ移籍するのは和田毅投手だと日刊スポーツがスクープ。
その後、九州を拠点とする西日本スポーツなども、日刊スポーツのスクープを後追いする形で、これが確定的な情報であるように報じた。
しかし、17時30分に突如として甲斐野投手の名前が確定情報として発表されたのである。
一連の動きのウラで何があったのか――。
14日の「週刊現代」(講談社)がその舞台裏を詳報している。
記事によると、西武は9日の時点で和田投手の獲得を決め、これをソフトバンクへ伝えた。この選択はソフトバンクにとって想定外であり、10日に自主トレ先を訪れた三笠杉彦GMから指名を知らされた和田投手が「引退します」と口にする事態に発展したという。
これに慌てたフロントが、プロテクトリストに入っていた甲斐野投手を代わりに差し出すプランを西武に打診。西武は完全に納得はしていないものの、大人の対応としてこれを受け入れたとのこと。
この記事内容が事実であれば、2017年オフに日本ハムから中日へとFA移籍した大野奨太捕手の人的補償として指名された岩瀬仁紀投手が「それなら引退する」と主張、その結果、日本ハムは人的補償を諦め金銭補償を選択したとされる「岩瀬式プロテクト」と全く同じことが起こっていたことになる。
さらに、今回のケースでは、プロテクトされていたにもかかわらず代わりに移籍することを余儀なくされた甲斐野投手という被害者を生んでしまっている。
あくまでも記事が事実であればという前提ではあるが、ソフトバンク、そして和田投手の暴挙を、何のペナルティーもなく済ませてしまって良いのだろうか。
(文/中牟田晃)