どこまで被害者と世間の声を軽視すれば気が済むのだろうか――。
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた40代後半の男性が、10月中旬に大阪の山中で首を吊った状態で発見され、その後死亡していたことが14日、分かった。
近くには遺書があったということで、遺族が同日に「自殺」だったと明かしている。
男性は一部メディアで性被害を告発後、「うそはすぐバレる」「金が欲しいんだろう」「虚偽の証言をするな」など心無い誹謗中傷をSNSで多数受けていたという。
当然、旧ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)は、こうした誹謗中傷をやめさせるために、大々的に声明を出すものとみられていた。
ところが、同事務所がとった措置は、公式HPのトップにリンクが置かれている「被害補償特設サイト」を開くと表示される「故ジャニー喜多川による性被害にあわれた方に心よりお詫び申し上げます。今後当サイトでは被害補償の状況を適宜お知らせしてまいります。被害にあわれた方々のお気持ちに寄り添い、迅速かつ適切な被害救済に弊社一丸となって全力を尽くして取り組んでまいります」という従来からの挨拶文の下に、しれっとこっそり「なお、SNSなどを通じて被害にあわれた方やご家族等に対する誹謗中傷が行われております。そのような不当な行為は絶対に止めていただきますよう切にお願い申し上げます」との文言を追加するというものだった。
すぐ目に留まる、SMILE-UP.の公式HPトップや「お知らせ」ページに、今回の件に関するコメントを載せず、メディアを介しての声明発表もナシ。(14日17時45分時点)
SMILE-UP.およびエージェント会社の副社長を務める井ノ原快彦さんが、10月7日に自身のブログで「弱っている場合ではないので 嫌なこと 違うこと きちんと戦わなければいけないな」とコメントしたこと。
SMILE-UP.へと社名変更する以前の10月10日に、事務所として「被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数ある」などと声明を発表したこと。
これら、誹謗中傷を促進したきらいがある事象について、もっと明確に注目を集める方法で見解を示すべきではないだろうか。
どこまで行っても、いつまで経っても「自分たちは変わる気がない。変わりたくない」というのが旧ジャニーズの本音だと言われても仕方があるまい。
(文/大野ルナ)