井ノ原快彦「論点ずらし」を大称賛…ファンミーティングと化したジャニーズ会見は被害補償・救済に関する進捗ゼロ | The Audience
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井ノ原快彦「論点ずらし」を大称賛…ファンミーティングと化したジャニーズ会見は被害補償・救済に関する進捗ゼロ

井ノ原快彦

 2日14時から開かれた、ジャニーズ事務所による性加害問題をめぐる2度目の記者会見。

 正確には14時を少し回ってから、東山紀之さん、井ノ原快彦さんらが登場。司会者からは「会場の都合により会見は16時まで」とわずか2時間という制限が言い渡された。
 
 会見冒頭では、前回の会見とは異なりこの日の会見を欠席した、藤島ジュリー景子さんの「同問題においては私も被害者」「パニック障害だから会見に出られない」といった冗長な言い訳を記した「レター」が、井ノ原さんのゆったりした口調で代読された。
 
 続けて、同事務所は「SMILE-UP.(スマイルアップ)」へと社名変更し補償業務に専念すること、タレントのマネジメントについては新会社を設立して対応、新会社の社長には東山さん、副社長には井ノ原さんが就くことが発表された。
 
 その後に設けられた質疑応答においては、社名変更に伴ってジャニーさんの名を冠したグループ名やグループ会社の名称がどうなるのか、体制変更によって退所する人が続出するのではないかといった部分に質問が偏り、「再発防止特別チームの調査報告および提言から1ヶ月以上が経過していながら、具体的な被害補償や救済に関する策が示されていない」「前回の会見から1ヶ月弱という期間がありながら、東山さんが対話した被害者がわずかに3人しかいない」など、被害補償・救済に関する拙速さを追及する質問が非常に少なかった。
 
 ただこれは、追及できる記者が現場にいなかったのではなく、意図的に追及するような質問が出ないように質問者を選別していたように見受けられた。
 
 しかも、質問への回答が不十分と感じられても、質問者あるいは別の者が“更問(追加説明を求める質問)”をすることは認められず。
 
 挙句には「30年来のジャニーズファン」と宣言し、ジャニーズを褒め称したり、ジャニーズJr.をデビューまで育て上げたのはファンなんだと熱弁したりする、土台この場に相応しくない、記者と呼ぶのもはばかられる人物が質問者に指名される始末。
 
 結果として、被害補償・救済に関する質問をしたい報道陣が苛立ち、場は紛糾。
 
 これを井ノ原さんが「会見は生放送されていて、子供たちにも伝わります。自分にも子どもがいます。被害者の方々も見ています。だからこそ、被害者のことでもめている大人の姿を見せたくない。どうか、落ち着いてください」と諫め、一部の参加者からは拍手が起こった。
 
 子どもたちにトラウマを植え付け、その状況を組織ぐるみで隠蔽してきた会社サイドが…まさしく「どの口が言う」な論点ずらしだった。
 
 中身の薄い質問や、見当違いの質問により、完全にジャニーズのファンミーティングと化した会見は、被害者という主人公となるべき存在を置き去りにしたまま、あっという間に終了。
 
 控えめに言っても“進捗ゼロ”だった会見を、特に論点ずらしで拍手を起こした井ノ原さんを、称賛する方向の記事がここまでに数多く打たれていることにも戦慄を覚える。
 
 性加害問題の再発防止どころか、むしろ再発推進が始まっているのではないかとすら思える。
 
(文/福田優太郎)