数々の大手企業がスポンサー契約を見直し、テレビ番組の編成にも影響が及び始めたジャニーズ事務所の性加害問題。
その規模、悪質性、常習性、期間などから同事務所の創業者で元社長・ジャニー喜多川さんによるものが強調されるのは当然だろう。
だが、その陰に隠れて、一般社会であれば逮捕案件になっていてもおかしくない性加害に手を染めた人物が、同事務所の関係者の中に、他にもいることを見逃してはならない。
「週刊文春 電子版」(文藝春秋)では27日、以前に報じていた元マネージャーによる性加害とは別に、つい先日まで現役のマネージャーだった人物もまた性加害を行っていたと報じた。
被害に遭っていたのは名前こそ伏せられているものの、男性タレントだという。そして、このマネージャーは同事務所の記者会見があった7日よりも後の15日付で諭旨退職となっているというのだ。
会見後にジャニーズ事務所が示した被害補償、その対象は「ジャニー氏から被害を受けた者」に限定されている。つまり、つい先日まで在籍したマネージャーから被害を受けたタレントや社員は、現在の発表内容にもとづくと補償を受けられないということになってしまう。
補償内容についての見直しが急務ではないかと思われるとともに、ジャニーさん亡き今もなお、同事務所内には性加害者がいたという事実は非常に重い。
新社長に就任した東山紀之さんの「僕のソーセージ」事件、そして複数の元ジャニーズJr.が告発している「なにわ男子」大西流星さんの性加害についても、細部まで徹底的に調査を行い調査結果を詳らかにしなければ、口先だけの「再発防止策」を唱えたところで形骸化してしまうことは目に見えている。
先日、同事務所が10月2日に次回の記者会見を行う旨を発表したが、主なテーマは社名変更や藤島ジュリー景子前社長の保有する株式の取り扱いなどで、ジャニーさん以外による性加害についてはスルーされていた。
しかし、膿を出し切り、新たな性加害の芽を摘んでおかなければ、この問題は解決を迎えることはないのではないだろうか。
(文/福田優太郎)