国内外で批判が集まり「降板させるべき」との声が高まっていた、ジャニーズ事務所に所属する櫻井翔さんの「ジャパンラグビーアンバサダー2023」の起用について、日本ラグビー協会が続投の方針を明らかにした。
櫻井さんは5月に、フランスW杯に臨むラグビー日本代表の認知度向上などを図るアンバサダーに就任。W杯終了後の11月20日までがアンバサダーとしての活動期間となっていた。
しかし、ジャニーズ事務所の性加害問題を受けて、W杯開催国フランスの大手紙「ル・モンド」が櫻井さんの起用を批判。国内外で「降板やむなし」「辞めさせるべき」との声が高まっていた。
そんな中、「東スポ」の取材に対し日本ラグビー協会は「このたび櫻井氏の所属事務所が認めて謝罪した性加害の問題は遺憾であり、当協会では断じて容認するものではなく、今後の事務所の対応に注視してまいります」とした上で「当協会は、いかなる性加害も容認いたしません。暴力や虐待、ハラスメントをすべてのラグビーにかかわる場面から排除し、いかなる種類の差別に反対し、基本的人権、スポーツを楽しむ権利を守らなければならないと考えており、セーフガーディングの推進に積極的に取り組んでおります」と協会の性加害に対する見解を示したという。
その一方で「このたびの事務所の社会的責任と、櫻井氏個人の活動は、切り離して考えています。櫻井氏は元ラグビー競技者としてまたラグビーファンとして、常にラグビーを応援し続けてこられており、着任いただいているジャパンラグビーアンバサダー2023の役割に現時点で変更予定はありません」との方針を明かしたという。
櫻井さんがジャニーズ事務所を通さずに個人でラグビー協会とアンバサダー契約を結んでいるのであれば、ラグビー協会の「事務所と個人の活動は切り離して」という理屈が通じるかもしれないが、契約が同事務所を通じたものであるならば、ラグビー協会は空前の性加害問題を起こした会社に資金を提供していることになり、引き続きの批判を免れないだろう。
W杯が始まったばかりの今のうちであれば、櫻井さんの降板という形で事態の沈静化を図れたはずなのに、今回の決断により日本ラグビー協会は日本ラグビーの歴史に大きな汚点を残すことになるのではないだろうか。
(文/福田優太郎)