いくつもの不利がありながらキッチリ差し切って勝利したイクイノックス。人気薄を嘲笑うかのように最速の末脚でタイム差なしの2着に食い込んだスルーセブンシーズ。
勝つべき馬の強さと、伏兵のあっと驚く台頭により大いに盛り上がった2023年のJRA春のグランプリレース「宝塚記念」。
同レース、イクイノックスに騎乗したC・ルメール騎手のジョッキーカメラが公開され、大きな話題となっている。
イクイノックス、スルーセブンシーズ、ジャスティンパレス、馬券となった3頭の1つ前でレースを進めたジェラルディーナが、武豊騎手の合図で向こう正面から捲っていく。
これに追従しようとルメール騎手もイクイノックスを動かそうとしたが、これにイクイノックスが従わず思わず「Hey!What's up?(おい!どうした?)」との声が漏れる。
仕方なくルメール騎手が少し待ってから、かなり距離損のある大外に持ち出すと、イクイノックスはスイッチが入ったようにジェラルディーナら先団の馬たちをごぼう抜き。
そして、自身よりもさらに後ろから飛んできたスルーセブンシーズの追撃を際どく凌ぎ切って、見事に戴冠。
ゴール後、ルメール騎手が「反応が遅かったからお外(おそらく“大外”)に出した」と3着・ジャスティンパレスの鮫島克駿騎手に話しかける様子も収められていた。
ジョッキーカメラが映し出したのは、焦る相棒のルメール騎手をイクイノックスがなだめ、完璧なタイミングで豪脚を繰り出し、宝塚記念制覇へと導いた様子だった。
(文/豊田武志)